敷地は博多駅から徒歩10分の今後活性化が期待される住宅街、比恵地区のほぼ中心で三方を道路に囲まれ、北側道路を挟んで緑地の多い比恵公園を臨む恵まれた環境に位置する。 今回の我々のテーマは【共生する】賃貸集合住宅であった。アプローチを昇り、エントランスのオートドアが開くと、目前の、床と同面に制御された7m×7mの水深50mmのプールが太陽の光を反射し、夜にはそのプールが発光体となる。各住戸(39戸)のアプローチは7m×7mの光庭に面し、光庭から下を臨むとそのプールに空が映り込み、夜には光庭の壁面に散りばめたガラスブロックや足元灯によって照射される各下階の廊下床と共に、発光する。 本建物は大きく4つの部分により構成され、その中央に空白の場、吹抜をはらむことになる。その4つの部分はそれぞれの方角に対し自立しながらも全体に対する秩序への仕組を持つが、4つの部分によって生じた空白の場こそが、部分と全体の共生であり、内部と外部の共生、理性と感性の共生、人間と自然の共生、を関係づける空間になればと願い、計画した。